世界一わかりやすい! FXチャート実践帳(著者:二階堂 重人)の書評です。
【書評】FXチャート実践帳 スキャルピング編
まず総評から紹介します。
FXチャート実践帳 スキャルピング編~ロング・エントリーの条件~
FXチャート実践帳 スキャルピング編で紹介されているロング・エントリーの条件は以下の通りです。
条件1 急騰か大きく上昇してセンターバンドが上向きになっている
条件2 ストキャスティクスが80パーセント以上になる
条件3 +2σと-2σの間隔が目安以上に広がる
条件4 陰線を中心にして下落
条件5 ストキャスティクスが20パーセントを割る
条件6 センターバンド近辺でV字反発
引用:二階堂 重人『世界一わかりやすい! FXチャート実践帳』株式会社あさ出版, 2011年,p65
基本的にボラティリティが高い時の上昇トレンドで、押しで買うエントリー方法です。
押しで買うので、スリップページも低く抑えられそうですし、損切ラインも短めにできそうです。
上記条件の詳しくは本書で確認してほしいのですが、条件3の『+2σと-2σの間隔が目安以上に広がる』の目安について補足しておきます。
それは以下の通りです。
米ドル/円・・・・・・30pips以上
ユーロ/円・・・・・・45pips以上
ポンド/円・・・・・・70pips以上
豪ドル/円・・・・・・35pips以上
ユーロ/米ドル・・・・・・35pips以上
引用:二階堂 重人『世界一わかりやすい! FXチャート実践帳』株式会社あさ出版, 2011年,p59
上記はあくまで目安であり、10年以上前の情報です。
現在でのボラティリティの高さに合わせて、その都度、各自で調整した方がいいかもしれません。
FXチャート実践帳 スキャルピング編~ショート・エントリーの条件~
ショート・エントリーの条件はロング・エントリーの条件の逆です。
下降トレンドの戻しを狙う手法です。
ロスカットのタイミング
本書で書かれているロスカットのタイミングは以下の通りです。
1.値幅(含み損のpips)
2.金額(含み損の額)
3.暴落率(建値からの暴落率)
4.テクニカル指標
5.チャート・パターン(チャートの方)
6.相場の雰囲気(経験によるカン)
引用:二階堂 重人『世界一わかりやすい! FXチャート実践帳』株式会社あさ出版, 2011年,p193
この中で、4のテクニカル指標はボリンジャーバンドの̟±1σの下抜け・上抜けでタイミングを計ります。
5のチャート・パターンでは、直近の安値・高値を割ったら、ダブルトップ・ダブルボトムができたら、三角形の鋭角を下に抜けたら、レンジを下に抜けたらロスカットのタイミングであると記されています。
特にボリンジャーバンドの±1σや直近の安値・高値のロスカットというのは基準としてわかりやすく、ルール設定しやすいと思います。
利食いのタイミング
当ページの冒頭でも書きました通り、本書には利食いの記載がありません。
ですが、ロスカットの逆を考えると、ある程度、自分で考えられます。
具体的には、
1.値幅(含み益のpips)
2.金額(含み益の額)
3.暴騰率(建値からの暴騰率)
4.テクニカル指標
5.チャート・パターン(チャートの方)
6.相場の雰囲気(経験によるカン)
です。
ただ、チャートパターンなどは、損切りとまったく一緒に考えるのは難しいですので、そこは柔軟に対応する必要があります。
5分足のチャートだけを見ない
上記のエントリー条件は、すべて5分足だけのことですが、本書ではもっと長い期間の1時間足、4時間足、日足などを見ることも推奨しています。
こうなってくると、初心者から中級者の思考が必要になってきます。
1.高値・安値更新
2.センターバンドでの動き
3.チャートの形
引用:二階堂 重人『世界一わかりやすい! FXチャート実践帳』株式会社あさ出版, 2011年,p139
上記のようなトレーダーが意識するポイントを長い足でも確認して、より確率の高そうな方向性を予想します。
本書では、ここの部分での問題も多数掲載されていますので、練習には丁度いいと思います。
スキャルピングの勉強法
スキャルピングの勉強法について、サラッとしか書かれていませんが、以下のようにあります。
毎日、トレードを終えたあと、その日の5分足チャートをプリントアウトしました。
そして、その紙(プリントアウトしたA4の紙)を何回も見ました。
引用:二階堂 重人『世界一わかりやすい! FXチャート実践帳』株式会社あさ出版, 2011年,p84
アナログ的な方法ですが、脳にチャートパターンをインプットする方法としては最適だと思いますし、その日のトレードの反省をする時間に使えそうです。
トレードに限らず、何事もそうですが、上達するためには、やりっぱなしではなく、やはり、反省、そして検証作業する時間は持ちたいところです。
その作業は、心理的にも良い影響を持ちそうな気がします。
日本国内の本で、スキャルピングの手法を紹介している数少ない本ですので、そこがこの本の価値です。
使用しているインジケーターは、『ボリンジャーバンド(センターバンドの20SMA含む)』と、『ストキャスティクス』です。
チャートの5分足で、トレンドの押しや戻りを待ってエントリーする手法を紹介しています。
また、演習問題が多数掲載されており、練習帳としても使えます。
この本のデメリットは、利食いの記載がないことです。
損切の仕方は載っていますので、そこから自分なりに考えるしかありません。
読者層は、初心者を中心として、スキャルピングについて少しでも興味がある方向きです。