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【書評】確率思考 不確かな未来から利益を生みだす アニー・デューク

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確率思考 不確かな未来から利益を生みだす(著者:アニー・デューク)の書評です。

【書評】確率思考 不確かな未来から利益を生みだす

まず最初に私がこの本を読んだのは一度だけなので、理解度は40%程度だという認識で、この書評を読んで頂ければ幸いです。

原因(意思決定・運)ー結果(成功・失敗)

上記のような関連性を考えるとき、成功したから自分が下した意思決定が正しかったとか、失敗したから自分の意思決定が間違っていたなどと短絡的に考えるのは合理的ではなく、長期にわたって成功するためには、上記のような因果関係を頭に入れておき、運ではない部分、つまり、意思決定の質を高めるにはどうしたらいいのかというのが本書の内容です。

これをポーカープロだった女性であり、さらには大学・大学院で心理学を学んだ作者が解説しているため、その経験や知識がふんだんに散りばめられており、とても読み応えのある本となっております。

この本は、投資に関する本ではありませんが、FXや株式投資等にも非常に役立つ内容が含まれています。

例えば、損失額をあらかじめ決めておくことで自己奉仕バイアスの影響を避けられるという箇所には、投資にも通じるところがあります。

自己奉仕バイアスとは、以下の論文では以下のように定義されております。

帰属における自己奉仕的バイアスとは, 個人が, 自分の成功を内的要因に帰属し, 失敗を外的要因に帰属する傾向を意味する(Miller&Ross,1975;Bradley,1978)。

前者を特に自己高揚的(self-enhancing)帰属傾向, 後者を自己防衛的(self-protective)帰属傾向と呼ぶこともある(Miller&Ross,1975)。

すなわち, 自分の行動を自己に有利な方向に偏って解釈する傾向が自己奉仕的バイアスであるといえる。

出典:村本 由紀子, 山口 勧『もうひとつのself-serving bias:日本人の帰属における自己卑下・集団奉仕傾向の共存とその意味について』,1995年7月17日 受稿, 1997年3月15日 受理, p66

つまり、トレード中に損失を被っている原因が、自分の意思決定の質によるものなのか、または運なのか冷静に判断できないため、損失額を限定することで、冷静になってトレードを振り返った時に、その悪い結果に対して、意思決定と運の割合を分析できるということです。

多くのトレーダーは、ロスカットの金額や割合を決めていると思いますが、それだけでは今後のトレードで成功する確率は低く、さらにやるべきことに、意思決定の質を高めるということが必要になってきます。

これはバックテストであったり、相場の環境認識の主観性を期待値の高いものにしたり、データの質を高めていく必要があるということです。

主観の正確さを検証するためには、以下のような自問も推奨しています。

  • 自分の主観が真実でない理由にはどんなものがあるだろうか?
  • 自分の主観に関連する情報にはどのようなものがあるか?
  • 自分の主観と似た考えが真実かどうかを判断できるような、関連した領域が他にあるか?
  • 今の主観を形成する過程で、見落としたり軽視したりした情報はあるか?
  • 誰かが自分と違う考えを持っているとしたら、その理由や根拠は何だろうか?相手の考えの方が正しいとすれば、その理由は何だろうか?
  • 出来事の原因を考える際、他にどのような視点があるだろうか?

引用:アニュー・デューク『確率思考 不確かな未来から利益を生みだす』日経BP, 2018年,p168-169

ただ、それと同時に自分一人だけでは限界があり、バイアスの影響を低下させるために違う見解を持つ他の人達からの意見も聞き、それぞれの意見も併せて、より客観的に分析することの大切さも語っています。

その他には、10-10-10の思考習慣といって、この選択をすれば10分後、10カ月後、10年後にはどうなるのか自問することで、意思決定の質を高める方法も紹介されています。

この思考習慣を身に付ければ、直近の出来事に感情を左右されにくくなり、すべての平均をとって反応できるようになると言います。

これは投資で言えば、例えば、チャネルラインのほぼ上限に達しているにも関わらず、直近の負けトレードによって感情的になり、一時的なプライスの大きな動きに付いていこうとエントリーしようとしてしまう時に、「10分後、この勢いで動くとどうなっているのか?10カ月後、このようなトレードを続けたら、預託証拠金はどうなっているのか?10年後は?」と考えることで、このエントリーの期待値は低いと冷静になることができるということです。

ただ、それでも感情的になってしまうことはあります。

そのような状態は、ポーカーではティルトというようです。

そのような専門用語があるぐらい、ポーカープレイヤーにとっては、重要視されている状態のようです。

そのような状態では、何かしらの意思決定するべきではなく、一度休息をとる必要があります。

もしくは、ティルトに陥らないためにユリシリーズ的契約(※本書を参照)によって制約を設けることで、意思決定ができないようにすることも可能だと言います。

投資で言えば、複数の証券会社やFX業者口座を分けてお金を入れておくことで最大損失額を抑えるようにしたり、自由意思で利確、損切するリスクを減らすためにOCO注文を入れておいたり、そもそも裁量トレードではなく、完全自動売買のシステムトレードするなど、工夫できます。

意思決定を中断すべきサインとなりうる例

本書では、意思決定を中断すべきサインとなりうる例について書かれいるが、投資に当てはめた場合、どのようなときなのかについて考えてみたいと思います。

※投資に当てはめられそうなリスト抽出しましたので、以下がすべてではありません。

自信があると勘違いしている時のサイン

「絶対に抵抗線を破って円安になる」、「この窓を埋めるのは間違いない」、「やっぱり、下がった」、「間違いなく、これはベアのサインだ」、「短い期間なら、100%の確率で問題ない」、「そんなトレードアイディアは間違っている」など、0%や100%そうなるといった表現や実際よりも自信があるように見せかける表現を使っている場合、合理的な状態ではないと考えた方がよさそうです。

結果を非合理的に解釈しているときのサイン

「なんで自分がエントリーすると下がるんだ!」、「この相場は、俺が支配している。まさに今日は負ける気がしない!」、「あのトレーダーは運だけだ」など、運のせいにしたり、自画自賛する言葉を使っている時は、合理的ではない思考の時だと考えた方がよさそうです。

相手の意見を退けるために他者をひとくくりにする言い方

「経済学者は、トレードのことは何もわかっていない」、「テクニカルトレーダーは所詮、運任せの投機家」など、相手をカテゴライズする言葉も合理的ではありません。

マートンが説く普遍主義に背き、情報源を軽視するがゆえに情報そのものを退ける態度、又はその逆

「あのトレーダーは負けてばかりだから、オススメしているインジケーターも使えないだろう」、「あの人は億トレーダーで自分と同じ手法だから、言っていることは間違いない」など、情報源と情報を一食単にしてしまうのも合理的ではありません。

一時的な出来事を拡大レンズで見て大げさに解釈している時のサイン

「今日のトレードの成績は地獄だ」、「短期間でこんな成績になるのは俺だけだ」など、今の一瞬だけを切り取って、全体の解釈としてしまう時も合理的ではない状態です。

明らかに意図的な理由付けをして、十分な根拠もなく情報を受け入れたり退けたりしている表現

「この相場は、誰でも上昇トレンドだと言うに決まっている」、「ポンド円は危険だというのは、一般常識だ」、「みんなも下げるって言っているから」などの明らかに意図的な理由付けをして、十分な根拠もなく情報を受け入れたり退けたりするときは非合理的。

間違っている

「間違っている」は、不確実性の存在を否定する言葉なので、その時点で非合理的。

自分を思いやれていないときのサイン

「どうして自分はこんなバカなトレードばかりなんだろう」、「こんなに意志が弱いトレードばかりしているのは最悪だ」など、自己批判の目的は、未来の意思決定の改善にあてるべき。

シナリオプランニングという方法を投資に活かす

シナリオプランニング

本書では、意思決定の質を高めるための一つとして、シナリオプランニングという方法をオススメしています。

これは一言で言えば、起こりうる未来について、あらゆる可能性を考え、確率を自分で計算することで、結果が白か黒かの二択になるという考え方にならずに、より合理的な考え方ができる方法です。

このシナリオプランニングを投資に活かすにはどうしたらいいのでしょうか?

色々とあると思うのですが、最も考えたいのはチャート分析に応用することです。

ただ単に価格が上がるか、下がるかを予測するのではなく、どのような軌跡をたどって目標値である利確ポイント、もしくは損切ポイントに行くのか考えてみるのはどうでしょうか?

例えば、サポートラインを割って垂れるように下がっていくのか、それとも一度下げた後に再び上昇してから落ちていくのか、エントリー前のシナリオの立て方は無数にあります。

そのように考えられうるシナリオを予め予測することで、それぞれのシナリオに対してどのように対応するのかシミュレーションすることができますし、上と下のどこにブル・ベアの抗争があり、その抗争によって価格がどうなるのか予測できます。

ここでのポイントは、考えられうるすべての結果を予測することと、確率を計算することです。

※確率の予測は完璧にできる人はいないので、まずはAのシナリオは30%、Bは20%、Cは50%と大まかでもいいので、数字で考えることが大切。

シナリオプランニングのメリットは、相場は不確実であると思い起こさせてくれることと、起こりうる結果に対しての準備ができることです。

本書を読んで、読んでみたくなった本

ジョン・スチュアート・ミル『自由論』ー本書では、著者であるジョン・スチュアート・ミルを賭け型思考におけるヒーローの一人と書かれています。

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